2015-01-01から1年間の記事一覧

移民/難民について考えるための読書案内--「郊外の多文化主義」補遺

本エントリーでは『アステイオン』83号に掲載され、その後、ニューズウィーク日本版ウェブサイトに全文を4回分載+補遺で掲載される拙稿「郊外の多文化主義」に関する補足的な情報提供を行いつつ、移民/難民について考える上で参考になる文献などを紹介して…

「エンブレムです・・・」(挨拶)

以下、ある本について以前書いておいたものを気が向いたのでアップしておく。特に何も考えずにアップしている。 (近所の某Fの科学会館にて)私「すいません~、こちら本も扱ってますよね?」某Fの科学会員「あ、大丈夫ですよ。何をお探しですかあ?」(とて…

還暦記念論集『逞しきリベラリストとその批判者たち』発売のご案内

大変お待たせしましたが、本日8月30日(日)段階で、『逞しきリベラリストとその批判者たち--井上達夫の法哲学』のAmazonでの販売が開始されており、また、週明けの9月初旬には書店にも並ぶとのことです。 逞しきリベラリストとその批判者たち―井上達夫の…

『がっこうぐらし』 とゾンビ法哲学

深夜アニメ「がっこうぐらし」がゾンビ物とは仄聞していたのだが、先日、連日の行政雑務その他による繁忙のため心が折れていた深夜、第1話から第6話までを一気に観てしまった(つい、かっとなってやった)。 本エントリーはゾンビ好きの法哲学者がテキトーに…

『神聖喜劇』 と「なけなしの公共性」

昨日迂闊なことをペロっとtweetしたら、色々な方からご教示を頂いた。 ?? 「学生」を「生徒」というのは、アレだけど。 「~教授」という呼び掛けは、むしろダメかと。「教授・准教授・講師」とか職名であって敬称ではない。兵卒が「~大佐」と呼び掛けな…

公民権運動の長い隊列 (Obergefell v. Hodges)

(上写真は、http://u111u.info/m4xF より) 講義でも毎年、Bowers v. Hardwick, 478 U.S. 186 (1986) から始まり、Lawrence v. Texas、539 U.S. 558 (2003) に至るまでの歴史を話しているので、以下、講義ノートの改訂のための備忘も兼ねてメモ。適宜、内容…

「学会による政治的意見表明」に関する小文備忘

思うところあって、高橋和之「学術的「学会」による政治的意見表明に思う」『ジュリスト』No.1213(2001.12.1)を久しぶりに読み返してみた。 ジュリスト 2001年12月1日号(No.1213) | 有斐閣 この小文(全3頁)、きわめて滋味深いものなので、以下にその内…

「集団的自衛権祭り」への冷ややかな雑感

衆院憲法審査会での憲法学者による違憲発言以来、「集団的自衛権祭り」とでも言うべきものが活況を呈しているが、ともすれば強力な磁場に捉えられ、「友/敵」的かつ不毛な議論になりがちなところ、以下、備忘を兼ねて twitter で記したものなども含め記し留…

ぶっ殺したい鳥

極めて不穏当なタイトルで申し訳ないが、以下。 以前もtwitterの方で書いたことがあるのだが、自宅で朝寝ていると、外から凄まじい大音量で「ギャーーーギャーーーギャーーー」と鳴く鳥の声が聞こえてくる。「ギョィェーーーーーー! ギュィッ!ギュィッ!ギ…

中島恵『なぜ中国人は日本のトイレの虜になるのか?』--単純な日本自賛本にあらず

中公新書ラクレの中島恵『なぜ中国人は日本のトイレの虜になるのか?』読了。 なぜ中国人は日本のトイレの虜になるのか? - 「ニッポン大好き」の秘密を解く (中公新書ラクレ) 作者: 中島 恵 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2015/04/09 メディア: 新…

中国皇帝をめぐる人類最大の権力闘争--『十三億分の一の男』

峯村健司『十三億分の一の男』読了。評判の高い本だったので読もう読もうと思っていたのだが、やっと読めた。 十三億分の一の男 中国皇帝を巡る人類最大の権力闘争 作者: 峯村健司 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2015/02/26 メディア: 単行本 この商品を…

鈴木静男『物語 フィリピンの歴史』メモ

物語 フィリピンの歴史―「盗まれた楽園」と抵抗の500年 (中公新書) 作者: 鈴木静夫 出版社/メーカー: 中央公論社 発売日: 1997/06 メディア: 新書 購入: 1人 クリック: 57回 この商品を含むブログ (6件) を見る 1)先スペイン期 ●サンスクリット系の文字が…

「就活後ろ倒し」とかへの教員側の雑感

過日、ご縁あって或る大手人材会社の方とお会いし、昨今の大学生の就職/就活状況についてご説明を頂いた。 最初に断っとくけど、以下、特に私の「所感」に関わる部分は、文系、特に法学部を念頭に置いた話が主なので、その他の学部の話とかはよく知りません…

ベルクソンの薔薇

高校生の頃から、かれこれ30年近く愛読して来た(正確には28年)、白水社のフランス語学習雑誌『ふらんす』に短いエッセイを寄稿しました。 「フランスと私」というリレー連載の欄で、「ベルクソンの薔薇」というタイトルで載っています(私の前の回は、偶然…

傑作。黙って買って読め--安田峰俊『境界の民』

安田峰俊『境界の民』、読了。掛け値無しの傑作である。繰り返し言うけど、すぐAmazonでポチるか本屋に走った方がイイ。これ読まないのは生きてるの損してるくらい勿体ないから。 境界の民 難民、遺民、抵抗者。 国と国の境界線に立つ人々 作者: 安田峰俊 出…

希少な資源としての権力の育て方--砂原庸介『民主主義の条件』

民主主義の条件 作者: 砂原庸介 出版社/メーカー: 東洋経済新報社 発売日: 2015/03/27 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (5件) を見る 巷では第18回統一地方選挙が繰り広げられているが、本日、折よく砂原庸介『民主主義の条件』(東洋経済)を読了し…

2015年度ゼミのお知らせ(4月4日版)

今年4月からの谷口(法哲学)ゼミについてのご案内、改訂再掲。英語文献2冊読むと下には書いてありますが、様子を見て、場合によってはシェリングの1冊のみでも。 本日夕方がWebシラバスの入力〆切だったので、さっき登録完了しました。というわけで、以下、…

大学院ガイダンスでの挨拶

以下、大学院主任としての初仕事。 2015年4月1日。備忘のため掲載しておく。 ○ まずはご入学・ご進学おめでとうございます。○ 私も17年ほど前に大学院に「入院」しましたが、この世界は「退院」というものはないので、病気が重くなるほど、助教・准教授・教…

選書リスト「郊外・ショッピングモール・共同体」(谷口功一)

拙著『ショッピングモールの法哲学』の刊行に際し、版元の白水社のtwitter公式アカウントでも連載?的に紹介されていた「選書」の一覧を以下にまとめておきました。品切れ・絶版書などは避け、現在入手可能なものを中心に選んであります。ご笑覧頂ければ幸い…

都立大・首都大政治学総合演習60周年

2015年2月28日、都立大学時代から続く法学部/法学系の政治学総合演習が今年をもって60周年を迎えたのを記念し、同僚の山田高敬先生による記念講演と懇親会が催された。 山田講演は、「国際レジーム後の世界~プライベート・ガバナンスと政府間組織によるオ…

大分書店今昔

私は生まれも育ちも大分県別府市なのだが、中学から高校まで隣の大分市にある岩田学園というところに通っていたため、都合6年間は、大分駅近辺をウロウロしていた。 過日、所用あって帰省した際、久しぶりに電車に乗って別府湾沿いを走る日豊本線で大分駅ま…

拙著 『ショッピングモールの法哲学--市場、共同体、そして徳』 についてのお知らせ

白水社からも公式にアナウンスされている通り、2015年2月24日発売予定の拙著『ショッピングモールの法哲学--市場、共同体、そして徳』(本体1900円+税)の装丁等が決まりましたので、刊行に先立ってお披露目までに。 目次は以下の通りです。 白水社 : 書…

ライシテをめぐる闘争史--谷川稔『十字架と三色旗』

シャルリー・ヘブド事件に接し、久しぶりに「ライシテlaïcité」について勉強し直そうと思い、谷川稔『十字架と三色旗』山川出版(1997年刊)を読了。以下、備忘のメモ。 念のためだが、ライシテというのは、フランス語で「世俗性」とか訳されるもので、政教…

ライシテ、移民、共和国(メモ)

on going... 1)ライシテ(政教分離)の歴史的位相 ■ ジャン=ボベロ『フランスにおける脱宗教性(ライシテ)の歴史』文庫クセジュ フランスにおける脱宗教性(ライシテ)の歴史 (文庫クセジュ) 作者: ジャンボベロ,Jean Baub´erot,三浦信孝,伊達聖伸 出版社/…