2013-01-01から1年間の記事一覧

ひとをして語らしめる書/速水健朗 『1995年』

ようやく、速水健朗著『1995年』ちくま新書、読了。既に多くの書評も出ているものの、以下、蛇足ながら。 1995年 (ちくま新書) 作者: 速水健朗 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2013/11/07 メディア: 新書 この商品を含むブログ (9件) を見る 著者は私と…

エッグベネディクト(増補版)

同僚の伊藤先生(行政学)や北村先生(国際法)と一緒に呑んでいる際、しばしば話題に出て来るエッグベネディクトを、ふと思い立って作ってみた。前から作ってみようと思っていたのだ。 しかし、知らんかったのだが、この料理、ウォールストリートの株式仲買…

秋田美人の謎

過日、所用のため生まれて初めて秋田市を訪れた。これまでも盛岡までは通ったことがあったのだが、そこから左に折れて日本海側に向かい、東京から新幹線で4時間の旅程である。 市内の新装相成った県立美術館には、藤田嗣治(レオナール・フジタ)の大作「秋…

碧海純一先生追悼シンポジウムの記

さる2013年9月28日(土)、本郷の山上会館2階大会議室で、故・碧海純一先生を追悼するシンポジウムが行われた(17:00~20:00)。当日は、会場一杯の来場者があり、盛会。孫弟子の末席に名を連ねる者として参加させて頂いたが、碧海先生のお人柄を偲ばせる会…

與那覇潤・東島誠 『日本の起源』

與那覇潤・東島誠(2013)『日本の起源』太田出版、読了。 與那覇さんから、だいぶ前に御恵贈いただいていたのだが、帰省した際に與那覇ファンの父にあげてしまったので、再度購入し、ようやく読了の運びに。ちなみに父は、以前、やはり帰省の際、たまたま、…

『日本思想史講座』第4巻:近代(補遺)

日本思想史講座(4)近代作者: 末木文美士,黒住真,佐藤弘夫,田尻祐一郎,苅部直出版社/メーカー: ぺりかん社発売日: 2013/06/24メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 過日、徂徠研に参加し、河野論文の合評を拝聴させて頂く。当日は夕刻より韓国からのお…

尾原宏之『大正大震災』(白水社)

今日は折角なので、"尾原祭り"とすることにした。台風来てて外出られないし。 そういうわけで、以前、尾原さんから『大正大震災』を御恵贈いただいた際に、返礼と共にお送りした私信に添付した感想に若干加筆・修正をかけて、以下、掲載しておく。 大正大震…

尾原宏之『軍事と公論』(1)、たぶん続く・・・

友人の尾原宏之さんの最近著『軍事と公論』(慶應義塾大学出版会)の書評記事が、本日、読売新聞朝刊(9/15)に載っていたので、その紙面より。文字が小さいので中身は読めないと思うが、雰囲気だけ。webの方で水曜か木曜くらいに読めるようになるはずか、と…

2013年度後期のゼミ告知

夏期休暇期間も残り3週間を切ったので、後期のゼミに関する告知を行っておく。前期とは分離された2単位半期のゼミである。テキストは、下記の通り Mulgan の著作(下記のAmazonのリンクはハードカバー版で高いが、廉価なペーパーバック版もある)。この本は…

いわし雲 人に告ぐべき ことならず (楸邨)

写真は、過日、新宿の追分だんご本舗の店先で撮影したものだが、酷暑もひと段落し、本日などは空模様も秋めいてきていた。このような空を見るたびに、年年歳歳相も変わらず表題の難解派・楸邨の歌を思い出す。この歌は、中高の現代国語の教科書か何かに出て…

三多摩帝国の逆襲/武蔵野インディアン vs. 東京白人

日経新聞の8月25日版に「吉祥寺・町田は昔、神奈川県だった/知事が捨てた街 」という記事があり、ネットでも話題になっていた。記事は、三多摩が東京府(当時)に移管されてから今年で120年の区切りということで書かれたものである。 記事:http://www.nikk…

TBSラジオ「ゾンビ」番組出演・補遺(2)

以下、つづき。 3)最近、同僚のから聞いた最も腑に落ちる説明 ● 一連のアルバイトによる悪ふざけ騒動。昔からある単なる悪ふざけじゃないかという指摘に首肯する部分もあるが、それにしても悪ふざけを世界中に言いふらす神経は理解できない。世界が見てい…

TBSラジオ「ゾンビ」番組出演・補遺(1)

過日、TBSラジオ「荻上チキ・session-22」に生出演させて頂いた。お題は「ゾンビは現代社会の何を映し出してきたのか?」。私以外のスタジオゲストは、『アイアムアヒーロー』の漫画家・花沢健吾さんと映画評論家の江戸木純さん。 当日の放送はコチラ→ http:…

ベルギー/バウツとファック・バー

このブログは、私自身の記憶の外部化も一つの大きな目的なので、以下、メモ。 いつも名前を忘れてしまうベルギーで知った画家の名前は「Dirk Bouts」。Wikiでは「ディルク・ボウツ」と表記されていたが、ブリュッセルのベルギー王立美術館で観た帰りに美術書…

北海道、東北で3番目に人口の多い都市は?

東北・北海道の全県で「最も人口の多い都市を3つ挙げろ」と言われて即答出来るだろうか?1位と2位は簡単で、次の通りである。 1位:札幌市 191万4,434 2位:仙台市 104万5,903 しかし「3位は?」となると、ハタと頭を抱えてしまうのではないだろうか。…

わたしは誰?

お盆も、そろそろ終わりなので、どうでもイイことを書くが、しばらくNHKの「おはよう日本」の阿部渉アナに似ていると言われていた。 私のお師匠さんも、ご家族で「谷口君に似てるわねえ」とか毎朝言っていたそうだ。最近は「半沢直樹」でオネエ言葉でネチネ…

ラグマン/タシケント異聞

過日、『孤独のグルメ』に「ラグマン」が登場しているのを観て、懐かしくなったので自分でつくってみた。後述のように、昔、ウズベク出張の際に食べたのだった。ただ、麺から打つのは酷暑の中、余りにも辛いので、代わりに素麺を使い、コリアンダーをよく効…

西の味、或いは箱根のあちら/こちら側

過日、家人が大阪寿司を買って来てくれた。「八竹」(http://www.hachiku.jp/)のもの。 私が知らないだけなのかもしれないが、都内では余り見ないので嬉しい。 20年以上前に東京に出て来た時は、色々なことに驚いた。うどんつゆがドス黒く濁っている(失礼…

『日本思想史講座』第4巻:近代(3・完)

日本思想史講座(4)近代作者: 末木文美士,黒住真,佐藤弘夫,田尻祐一郎,苅部直出版社/メーカー: ぺりかん社発売日: 2013/06/24メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 松田宏一郎「福沢諭吉と明治国家」読了。いつものことながら松田先生の書かれたものは…

ふなっしー、我が家に来る

買ぉてもろおた。 お腹を押すと次のような奇声を発します。 「こんなっしー、今日もみんながーんばるなっしー、梨汁ブシャー!」 「ふなっしーは、2000年に1度の梨の妖精なっしー、よろしくなっしー!」 「♪ふなふなふなふなふなヒャッハー!♪みんな元気に…

『日本思想史講座』第4巻:近代(2) 続く・・・かもしれない

「大部分引用句から成る作品を書くこと---- 想像しうる限りの気ちがいじみた寄木細工の手法 ----」Arendt, Hannah, 1968, Men in Dark Times, Brace & World, Inc., New York(阿部斉訳『暗い時代の人々』河出書房新社、一九八六年/訳196頁。) 與那覇潤「…

『日本思想史講座』第4巻:近代(1)....たぶん、続く

日本思想史講座(4)近代作者: 末木文美士,黒住真,佐藤弘夫,田尻祐一郎,苅部直出版社/メーカー: ぺりかん社発売日: 2013/06/24メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 同僚の河野有理先生より最近シリーズ刊行された『日本思想史講座』第4巻を頂いたので…

ふなっしー、或いは暗黒生命の輝き

※ 以下のエントリーは、8/7、0:00~0:10のみの限定公開で、すぐに削除します。 ※ 気が変わったので、しばらく、ひっそりと置いておきます。 ※ 開き直って晒すことにしました。 狂ったようにそこらじゅうを飛び跳ね、間断なく奇声を発しながら、「ヒャッハー…

サブカル天皇・後白河帝とスナック本

大河ドラマ『平清盛』は、とても面白かったので、毎週、放送される回の該当箇所を『保元物語・平治物語』とか『平家物語』、あるいは頼山陽『日本外史』などで予復習していたものだが、それも、もはや遠い思い出である。なかでも以下の『日本外史』の論賛部…

わたしの夏、翻訳の夏/ダニエル・A・ベル『孔子襲来--現代中国思想地図』

夏休みに入ったのだが、全くもって夏休みではなく、ダニエル・A・ベルの『中国の新しい儒教(China's New Confucianism)』の翻訳作業を毎日コツコツとやっている。 China's New Confucianism: Politics and Everyday Life in a Changing Society作者: Danie…

なぜ今、ゾンビが流行っているのか?

※ 追記:以下については、下記の記事も参考までに。わたし以外の出演者は『アイアムアヒーロー』の花沢健吾さんと映画評論家の江戸木純さん、司会は荻上チキさんの番組でした。 TBSラジオ「ゾンビ」番組出演・補遺(1) http://taniguchi.hatenablog.com/en…

ジェラルド・カーティス 『代議士の誕生』

代議士の誕生(日経BPクラシックス) (NIKKEI BP CLASSICS)作者: ジェラルド・カーティス,山岡清二,大野一出版社/メーカー: 日経BP社発売日: 2009/09/25メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 1人 クリック: 17回この商品を含むブログ (8件) を見る 55年体制…

日本の夏、競輪の夏

過日、ゼミの有志と連れだって、京王閣で開催されているナイター競輪を観戦しに行った。京王線でウチの大学に通う学生の中には、京王多摩川駅の横に聳えるあの巨大な建物は何だろう?と思っている人も少なからず居るのではないかと思うが、由緒正しい競輪場…

夏の風物詩/祇園山笠中洲流の扇子

今年も7月上旬に博多祇園山笠が開催されたが、今日、郵便ボックスを見てみたら、中洲の馴染みの飲み屋さんから、今年の山笠の中洲流の扇子が送って来ていた。博多は中洲を愛する私としては、もっとも嬉しい季節の風物である。 ここ数年、この扇子を愛用して…

丸山圭三郎とカラオケ、そしてヒップホップ

最近、思うところあって丸山圭三郎の『人はなぜ歌うのか』(飛鳥新社、1991年刊)を読んだ。私自身の長期的な研究プログラムに関係あるのだけど、それについては未だ秘密。 人はなぜ歌うのか作者: 丸山圭三郎出版社/メーカー: 飛鳥新社発売日: 1991/04メディ…