憲法記念日の奇習

 毎年恒例の「憲法記念日にコンビニで全紙を買って来て読んでみる」を今年もやってみました。

 下のほうに2019年と2018年の時の記録も参考までに付しておきますが、まさか今年の憲法記念日がこんなことになるとはね、という。2019年に書いたように、もうこの奇習もやめようかと思っていたのですが、コロナ禍のこんな時だからこそ、いつも同じことを意識的に継続しようということで、今年もやってみます。

 各紙、登場する識者をメモ代わりに記録してありますが、全体としてコロナ禍に呑み込まれてしまっている印象が強く、「憲法記念日だからということで惰性でやっている特集ですね」というのが総括的な感想ですかね。

 左派系の各紙はアタマから緊急事態条項については否定し、「公共の福祉」などで対応可能という論調ですが、この辺りのことを真面目に議論すべきではないか、と思いました。個人的には、数個の記事以外はほぼ読む意味が無かったです。

 なお、どうでもイイことですが、首都大・都立大の同僚・元同僚・OBが4人登場しております。

 

朝日新聞

緊急事態条項について曽我部真裕(京大・憲法)、世論調査について境家史郎(東大・政治学)、その他テレビ欄裏面に南野森(九大・憲法)、志田陽子(武蔵野美術大・憲法)。全体として、コロナ禍に乗じた改憲の動き(含む緊急事態条項)への牽制。「緊急事態条項、憎し!」ですか、そうですか、以外の感想は無し。

 

毎日新聞

百地章国士舘特任・憲法)と高見勝利(北大名誉教授・憲法)と左右のバランシング?その他、緊急事態条項の不要性について木村草太(都立大・憲法)。朝日と同じで内容が薄まっている下位互換。

 

東京新聞

紙面上、学者として登場するのは宇野重規(東大・政治学)のみ。しかもコロナ関係で憲法とは関係なし。やる気ない感じ。

 

【読売新聞】

上田健介(近畿大憲法)と笠原秀彦(慶応・皇室制度論)がメイン。各党座談会に学者としては1人だけ宍戸常寿(東大・憲法)が参加。全体として憲法論議の活性化の呼びかけ。憲法ではなくコロナ関係ではあるが、1面に御厨貴(東大名誉教授・政治学)。一番充実していたが、しかし、それでも今の時期に憲法問題を論じること、どうしても白けるよね、というのは拭えず。

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産経新聞

社説で緊急事態条項の必要性と力説するも、識者は一切登場せず。そもそも頁数が異様に少なく夕刊かと思ってしまった(大丈夫か?いや大丈夫じゃないんだけど・・・)。「息してる!?」以外の感想なし。

 

 今年も日経新聞は入手出来なかったのですが、まあ、そゆことで。

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2019年5月4日

 毎年恒例の憲法記念日に全紙買ってきて眺めてみる奇習を今年もやりましたが、全体としては、2015年の安保騒動の時を頂点に議論的には低調傾向の持続という印象でしょうか。

 それにしても、紙の新聞、ホントに毎年この日しか手に取ることがなく、古代文明の遺物みがあります。

 日経だけは近所のコンビニに行った時間が遅かったので売り切れてしまっており、電子版を講読している知人に内容を教えて貰ったのですが、朝日・読売・毎日・産経・東京を買いました。

 平成から令和への代替わりが直近だったこともあり、ここ数年では珍しく「天皇(制)」に関する言及が多かったのが、今年の一番の特徴でしょうか。あとは、2紙でAIへの言及があった(片山・山本)のも最近の潮流なのかな、とも。

 学者が顕名・写真つきで登場しているのは、朝日=井上達夫法哲学)・樋口陽一憲法)、読売=山元一(憲法)・君塚直隆(イギリス政治外交史)・棟居快行(憲法)。産経=百地章憲法)・渡辺利夫(久しぶりに見た!いちおう経済学?)。毎日=片山杜秀(政治思想史?)・佐々木弘通(憲法)。東京=長谷部恭男(憲法)vs. 萱野稔人(哲学?)、日経=青井未帆(憲法)、山本龍一(憲法)、江藤祥平(憲法)という感じでした。

 いちおう少なくとも上記の学者のやつだけは全て読んでみましたが、認知的利得がほぼゼロで、樋口陽一の記事は紙面の4分の3も使ってて巨大だな、というのと、井上達夫の話はこれまでと同じことを言っているので新味はないが、天皇の話は、ありきたりながらル=グインの「オメラスを立ち去る人びと」だよね、とか、読後に持った感想らしきものは、それくらいでした。

 この奇習も、そろそろ止め時かもしれません。

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2018年5月3日

 今日は憲法記念日なので、毎年恒例の全紙買って読んでみよう、をやってみました。朝日、読売、日経、毎日、東京、産経新聞の6紙。私は何年か前に紙の新聞を取るのをやめてしまったので、年に一回だけの紙の新聞を読む日で、ちょっと新鮮な気持ちも。

 まだきちんとは読んでいませんが、全体としてはやや議論が低調なのかな、という印象を受けました。一番頑張ってる?のは毎日かな、という感じも。

 写真つきで登場している学者は、京大の曽我部真裕さんが朝日と日経に出ていたのが目についた以外は、毎日の青井未帆、棟居快行、宮城大蔵×中島岳の対談、朝日の片山杜秀×林知更の対談、駒村圭吾、産経の田久保忠兵衛の各氏くらいで、ここ例年の常連?の姿が余り見えない感じもしました。林さんがこういう形で出てるのは、ちょっと驚きましたが。