2人の出郷者--永山則夫と菅義偉
最近一部で話題の、放送大学ラジオ講座「人間にとって貧困とは何か」(西澤晃彦・神戸大)、「西澤先生の声が良すぎて異様な説得力が~」というやつなんだけど(井出明先生から教えていただきました)、第2回で取り上げられている見田宗介『まなざしの地獄』を研究室から発掘して久しぶりに読んでしまいました。
久しぶりに読んで「あっ!!!」となったんだけど、この本(というか論文)の主人公である「N.N.」こと永山則夫、1949年に青森県板柳町出身(生まれは網走)。菅義偉も考えてみれば1年違いの1948年生まれの集団就職世代なんですよね・・・。かたや連続殺人犯・死刑囚(永山)、かたや現内閣総理大臣、同じように同じ時期に出郷して東京の風景を見ていたのか、と、しばし考え込んでしまいました。
永山則夫が連続射殺事件を起こした瞬間って、スガちゃんの人生の中で段ボール工場を辞めてから法政に入るまでのわりと謎の期間なんですよね、ちょうど。当時の東京で漂っていた無名のスガ青年は、永山の事件を見て何を思ったんでしょう。あるいは『無知の涙』を読んだりしたのでしょうか。
1968年の東京のどこかで、この2人、あるいはすれ違っていたのかもしれないなと思うと想像が膨らみます(北野武監督で映画化したら?)。
ちなみに冒頭のラジオ講座、以下から聴けます。10月20日までの公開なので、あと数日ですが、どうぞ。異様な説得力のある声!冒頭の写経の話、笑います。