なぜ今、ゾンビが流行っているのか?
※ 追記:以下については、下記の記事も参考までに。わたし以外の出演者は『アイアムアヒーロー』の花沢健吾さんと映画評論家の江戸木純さん、司会は荻上チキさんの番組でした。
TBSラジオ「ゾンビ」番組出演・補遺(1)
http://taniguchi.hatenablog.com/entry/2013/08/24/104652
TBSラジオ「ゾンビ」番組出演・補遺(2)
http://taniguchi.hatenablog.com/entry/2013/08/24/105128
8月10日にマックス・ブルックス著『ワールド・ウォーZ』が映画化・公開される。以下は、映画公式サイト7月29日掲載分より
『ワールド・ウォーZ』PRのため、つい先程ブラピ&アンジーが羽田空港に到着!ようこそ日本へ!!撮りたてほやほやの写真です。明日はジャパンプレミアに出席予定!
俺んトコには試写会のご案内も無かったので、実は悲しんでいる。所詮、二流ゾンビ芸人・・・。
ゾンビ・ロマンティック・コメディ『ウォーム・ボディーズ』の試写会はご案内頂きました。ありがとうございました。→公式サイト http://dead-but-cute.asmik-ace.co.jp/
そんな中、上記ジャパンプレミアと同じ日に、あるところからの依頼で、上記WWZの公開(8月10日)に合わせて「今なぜゾンビが流行っているのか?」という取材を受けた。拙訳『ゾンビ襲来』を読まれてのご依頼だった。記事はWWZ公開前後にWeb上に載るそうなので、決まったらまた別途。
- 作者: ダニエルドレズナー,谷口功一,山田高敬
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この取材の際に初めて知ったのだが、安倍総理ってドラマ『ウォーキング・デッド』好きだったのか。知らんかった。
安倍総理 TV出演で大の海外ドラマ好きを告白!「ウォーキング・デッド」 など絶賛 | 海外ドラマ&セレブニュース・TVグルーヴ http://www.tvgroove.com/news/article/cg/2/nid/11171.html
この記事によるなら・・・
「全くの別世界を描いてるから、観ていてスカッとする」(安倍総理)
・・・とのコトなのだが、しかし、アレ観てスカっとするというのは無いな(汗)。何かこう、惨たらしく死んで欲しい人とかが大量に居たりするのだろうか・・・。まあ、首相は激務なのでストレスが溜まっているのだろう、ということで。
閑話休題。
話を元に戻して「今なぜゾンビが流行っているのか?」。取材の中でも言ったのだが、深層(集団)心理的なことは正直よく分からない。社会不安の高まりとか端的には戦争とかがゾンビ映画を増やすというお約束の説明もあるが、むしろ受け手ではなくサプライサイドの問題なのでは?とも。
現在連載中のゾンビ漫画は把握してる限りで、すぎむらしんいち『ブロードウェイ・オブ・ザ・デッド~女ンビ童貞SOS』、花沢健吾『アイアムアヒーロー』、福満しげゆき『就職難!ゾンビ取りガール』、相原コージ『Z』だけど、それぞれの生年は、66年、74年、76年、63年。
あと、『大江戸リビングデッド』の宮藤官九郎は1970年生まれ。要するにゾンビの洗礼を受けた世代が「作り手」になり、ある程度、好き勝手出来るくらいの歳になったということでは?『桐島、部活やめるってよ』もあるけど、80年代生まれか(映画版の監督は60年代生)。
ゾンビは、これからどうやったら日本に定着するだろうか?といった質問もあったと思うが、「朝ドラでゾンビやったら、それが日本にゾンビが定着したという証拠」とか、テキトー極まりないことを言った・・・。
無理くりの説明だけど、日本で最近?流行ってんのは、次のような経緯では?というテキトー説明も。
「おぞましいもの」への嗜好はいつの時代にもあるが、それは人びとの集合意識の中の不安とかを表象している。冷戦期の核戦争への恐怖→北斗の拳、みたいな。
90年代の不安は、95年のオウム・サリン事件でピークを画すんだけど、これについては宮台先生が「終わりなき日常」って言い出して、この図式はひろく受容された。
しかし、この終わらないと思われたマッタリした《日常》は、失われた20年~リーマンショック~311で、いとも簡単に木っ端みじんになり、むしろ、そんな《日常》懐かしいYOネ!みたいな事態に。
特に311以降は《日常》どころか《終末》が常駐するように。《終末》の最も端的な形態は「死」だけど、「太陽と死は直視出来ない」ところ、のろのろ歩いてじっと凝視しやすいゾンビは、《終末》世界をイマジネーションによって加工するための恰好のメディアだったのかもね、とか。
すべては思いつきのテキトーな話である。すんません。
取材の最後の質問は「先生はなんでゾンビ好きなんですか?」だったんだけど、これ、実は結構難しい質問。
ゾンビ映画とかで一番好きな場面は、だいたい人間の主人公たちが、アナーキーになった状況下で、スーパーとかからカジュアルな略奪をやって束の間のパラダイス(すぐ崩壊する)を築くトコなんだけど、これは、AoEとかで敵襲に耐えつつ、一生懸命、壁とか塔とかつくって防御が完全になった時のワハハ感に似てるから好きなのかな、とか、とても残念なことを答えてしまった・・・(下記、AoEキャプチャ画面)。
取材の中ではアメリカの話も色々して、いつもの四象限図式と民主党/共和党の対比とかもしながら、ゾンビに対するアメリカ人の思いみたいなのも説明したのだが、どれくらいご理解頂けたのかは、ちょっと分からない。どんな記事になるのだろうか?
ちなみに最後に、以前作ったのだけど、使うことがないまま死蔵されていた表を掲載しておく。アメリカでの民主党/共和党それぞれの政権期におけるゾンビ映画/ヴァンパイア映画の封切り数の比較である。これに関する詳しい分析は、雑誌『ユリイカ』に寄稿した拙論「フィロソフィア・アポカリプシス--ゾンビ襲来の法哲学」の中で行っているので、興味のある方は、そちらをどうぞ。
|
大統領 |
党派 |
全映画 |
ゾンビ |
ヴァンパイア |
備考 |
1953 |
アイゼンハワー |
共和党 |
2313 |
2 |
0 |
|
1957 |
アイゼンハワー |
共和党 |
1708 |
11 |
6 |
|
1961 |
ケネディ |
民主党 |
1637 |
7 |
8 |
|
1965 |
ジョンソン |
民主党 |
2195 |
4 |
12 |
|
1969 |
ニクソン |
共和党 |
2706 |
11 |
21 |
NOTLD |
1973 |
フォード |
共和党 |
2678 |
9 |
22 |
|
1977 |
カーター |
民主党 |
2459 |
12 |
13 |
|
1981 |
レーガン |
共和党 |
2970 |
22 |
6 |
|
1985 |
レーガン |
共和党 |
3927 |
42 |
32 |
|
1989 |
ブッシュ(父) |
共和党 |
4211 |
34 |
31 |
|
1993 |
クリントン |
民主党 |
4861 |
20 |
41 |
ドラキュラ |
1997 |
クリントン |
民主党 |
7852 |
14 |
37 |
ブレイド |
2001 |
ブッシュ Jr. |
共和党 |
12808 |
50 |
52 |
28日後 28週後 |
2005 |
ブッシュ Jr. |
共和党 |
24110 |
158 |
74 |
|
2009 |
オバマ |
民主党 |
8769 |
48 |
34 |
|