大分書店今昔

 私は生まれも育ちも大分県別府市なのだが、中学から高校まで隣の大分市にある岩田学園というところに通っていたため、都合6年間は、大分駅近辺をウロウロしていた。

 過日、所用あって帰省した際、久しぶりに電車に乗って別府湾沿いを走る日豊本線大分駅までゆき、大分市内の本屋を幾つか訪ねてみた。今にして思えば、実に風光明媚な通学路だった(下、私の通学路から望んだ別府市)。

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 中高生の頃は、パルコブックセンター、晃星堂書店、明屋書店、長崎屋の地下の書店、それから若草公園の近くに渋い古本屋などがあったのだが、今でも残っているのは晃星堂書店と明屋書店だけで、特にパルコはビル自体が取り壊されてコインパーキングとなってしまっていた・・・。古本屋は本当に思い出深く、塚本邦雄の『藤原定家』などを買ったのをよく覚えている。無くなってしまったのは、実に残念である。

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  パルコは2011年に閉店したが、それよりも前に地下のブックセンターは無くなってしまっており、代わって登場したのが斜向かいくらいのフォーラスビルに入っているジュンク堂書店だった。このジュンク堂は1995年開店なのだが、開店した年から帰省するたびに行っている。

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 今回、2月24日に私の初めての単著が出ることもあって、飛び込み営業がてらジュンク堂を訪ね、人文棚の担当者の方にご挨拶などさせて頂いたのだが、その際、面白いものを発見した。「ジュンク堂大分店 20周年記念フェア」という手作りの小冊子である。

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 先に書いた通り、ジュンク堂大分店は1995年に開店しているのだが、この年は阪神大震災の年である。小冊子の中には現在の店長(6代目)の挨拶に並び、初代店長の方の文章も寄せられているのだが、この内容が実に興味深い。

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 それによるなら、開店1週間前に震災が起こってシステム担当者(たぶん関西)と連絡が取れなくなり、急遽、昔ながらのスリップ(短冊のこと)による販売・発注管理になったので、一から新規採用者にやり方を教えたのだとか。
 あるいは、吉川弘文館から『臼杵大仏』が大仏修復完成記念に刊行され大いに盛り上がったのだが、「編者であり大分考古学会の大御所であった賀川光夫先生(その後気の毒な事になりましたが)も喜んでくれました。」との下りには、思わず・・・となってしまった。「賀川光夫」で検索すると、どう「気の毒」なのか良く分かる・・・。周知の通り、大事件だったのである。

 賀川光夫 - Wikipedia

 この文章、最後の下りがふるっており、「大分へは当初関西から5人転勤しましたが、3人が独身で、そのうち2人が現地採用のオープニングスタッフと結婚しました。「お前ら何しに来たんや!」と怒ったことを懐かしく、微笑ましく思い出します」というのには、なごんだ。同じ頁には、現在アルバイトしている1995年生まれの店員さんの文章の載っており、なかなかに感慨深いものになっている。

 今回、大分に行こうと思った時点では知らなかったのだが、この小冊子には出張販売をしているシネマ5の方のものと並んで、カモシカ書店という本屋さんを経営されている方の文章が並んでいた。私は、この本屋は知らなかったので、ふらりと行ってみたところ、カフェも併設し、読書会なども定期的に開くお洒落な店でビックリ仰天したのだった。

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 パルコブックセンターの話は、白水社の『ふらんす』2015年5月号に掲載される拙文の中で触れているので、そちらに詳細は譲るが、私にとって最も思い出深かったパルコの本屋が無くなった後にも、このように大分に素晴らしい本屋があるのを嬉しく思う。


けんしん 大分県信用組合 | 震本夜(ふるほんや)さんに行ってきました!~カモシカ書店~ | Talkin' Loud ! かぼすブックス

 蛇足ではあるが、大分駅が激変していて腰を抜かしそうになったのだった。

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 また帰省した時に本屋をめぐりたいものである。

 

 おまけ。大分の或る書店に行ったら、『立法学のフロンティア』全3巻が棚に並んでおり、おおお!となったのだが、棚の分類を見て眩暈がしたのだった。まあ、オカルトかもしれん・・・法哲学とかわな・・・。

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