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ラグマン/タシケント異聞

 過日、『孤独のグルメ』に「ラグマン」が登場しているのを観て、懐かしくなったので自分でつくってみた。後述のように、昔、ウズベク出張の際に食べたのだった。ただ、麺から打つのは酷暑の中、余りにも辛いので、代わりに素麺を使い、コリアンダーをよく効かせてみた。我ながら余りの美味さに驚いた。酷暑のみぎりトマトが実に爽やかで最高である。我が家に中央アジアの薫りが、立ち籠めた。

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 ラグマンは中央アジア一帯で食べられている料理であり、羊肉入りトマトうどんのようなものだと思って貰えばイイだろう。羊肉がダメでなければ、夏のメニューとしては、とても良い。マンガ『乙嫁語り』(舞台はカスピ海周辺?)の中にもラグマンは登場していたかと思うが、中央アジア一帯は、ゆるやかに長く延びる文化的連続性が存在しており、とても面白い。

乙嫁語り 1巻 (BEAM COMIX)

乙嫁語り 1巻 (BEAM COMIX)

 タシケントのホテルのバーで呑んでいる時、隣に座っている女性と話していたところ、「今度、中国の親戚のトコに行かないと」というので、「どこ?」と聞いたら「新疆・ウイグル自治区」だった。彼女はトルコにも親戚が居るという。考えてみれば「突厥」とかも「エフタル」なわけで、中国の縁辺部からトルコくらいまでは、ひと繋がりなのだな、と独りで勝手に感心していた。

 私が、このラグマンを初めて食べたのは、ウズベキスタン共和国のタシケント法科大学に出張した時だった。このウズベク出張は、名古屋大学法学部の法整備支援事業でお招き頂き(大変意義のある事業である)、大屋雄裕さんと井上達夫先生と行ったのだが、その時わたしが話したのは、いま話題の「内閣法制局」まわりについてだったなあ、とかも思い出す。当時、ウズベクには法制局は存在しなかったのだが、風の噂では私が帰った後に出来たとか出来ないとか(ウズベク法制局の父?いや、よく分からないのだが)。確か、ラグマンを食べたのは、以下のレストランではなかったかと。ここはシシャリクも美味かった。雰囲気の良いレストランである。

 Caravan in Tashlent:http://www.tripadvisor.jp/Restaurant_Revew-g293968-d1128330-Reviews-Caravan-Tashkent_Tashkent_Province.html

  この時の出張については、以下のPDFファイルの10頁目に短いエッセイみたいなのを載せている。

谷口功一「日本法教育研究センター ウズベキスタンスクーリング /世界地図の空白を塗りに」(注意:PDFです)http://cale.law.nagoya-u.ac.jp/_userdata/25.pdf

 この出張の際には、サマルカンドにもお連れ頂いたが、世界史の図説でしか縁のなかった地に仕事で行く機会があるのは、本当に感慨深いことである。ブルーモスクは本当に美しかった(参照:http://eritokyo.jp/independent/silkrood2.html)。

 あと印象に残ったのは、シベリアから強制的に連れて来られた日本人捕虜の墓地に参拝したことだ。ウズベク人は、ソ連時代、禁止されていたにも関わらず、密かにこの日本人墓地を守ってきた。ウズベクは親日国なのだ。これに関しては、ナカニシヤ出版の『公共性の法哲学』の寄稿した私の論文の中でも触れており、その点でも、この墓地を訪れることが出来たのは、大変に感慨深いことでもあった。

 最近は高校で「世界史」未履修の学生も多いようだが、実に勿体ないことである。世界史を知らないというのは、人生の楽しみを幾分損なっているといっても過言ではない。

 なお、ウズベクについては、中山恭子議員が、大使時代の想い出を綴った『ウズベキスタンの桜』という本があるのだが、これは名著である。エネルギー問題等をめぐり、ロシアや中国が「グレートゲーム」とでも言うべきものを展開しつつある昨今、その舞台である中央アジアについて知る上で裨益するところ大なので、オススメしておきたい。

ウズベキスタンの桜

ウズベキスタンの桜