島田英明『歴史と永遠』

 わがゼミの卒業生でもある島田英明さんの単著『歴史と永遠 江戸後期の思想水脈』(岩波書店)をご恵贈頂きました。ひとりの教師として感無量です。

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 上記、「で“も”ある」と記した通り、日本政治思想史を専門とする島田さんの首都大での本籍は河野有理先生のゼミでありまして、その後、東京大学大学院法学政治学研究科で苅部直先生の薫陶を受け、このたび博士論文をもとにした本書の上梓に至られました。

 島田さんは私にとっても実に思い出深い卒業生のひとりで、在学中から飛び抜けて優れていたのを今でもよく覚えています(実際、極めて優等な成績で本学を卒業されました)。

 彼に関して、わたしが記憶しているエピソードは2つあり、1つは河野先生の講義のレポートで、出来が余りに良すぎるので剽窃ではないかとさえ疑われたものの、実際に自分で書いたものとすぐに分かったという話。

 それから、2つめは、私のゼミで当時、安藤馨さんの『統治と功利』を読んでいたところ、ゼミ合宿で安藤さんご本人をお呼びし、島田さんに『統治と功利』の報告をしてもらったら、あの安藤さんが「彼は本当に優れていてビックリですね」と激賞頂いたことでした。

 栴檀は双葉よりとか、出藍のなどと言うまでもなく、実に教師冥利に尽きる存在が、島田さんと今回のこの本でありまして、あとがきも読んで、学生時代の彼の知的世界の形成にいくばくかなりとも痕跡を残せたのが、後世、私の学者人生の中で最も大きな意義のあることだった、とならぬよう、わたし自身も奮起しなければならないな、と思った春の昼下がりでした。

 内容の詳細(目次など)は以下から見れますので、是非お手に取って頂ければ幸いです。

 島田さんは1987年生まれですから現時点で31歳なわけですが、この本のもととなった博士論文は、その20代最後の日々に書かれたものなわけで、弱冠30にもならないほどの人間が、このようなものを書けるのかと戦慄されたく。

https://www.iwanami.co.jp/book/b352575.html

 

※ 先ほど落掌したばかりなので、またゆっくりと読んでから内容についての感想なども追記したいと思います。