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鈴木静男『物語 フィリピンの歴史』メモ

 

物語 フィリピンの歴史―「盗まれた楽園」と抵抗の500年 (中公新書)

物語 フィリピンの歴史―「盗まれた楽園」と抵抗の500年 (中公新書)

 

1)先スペイン期

●サンスクリット系の文字が存在:「残念なことに、このフィリピン版の竹簡や葉簡は、熱帯の暑気に耐えられず、すべて自然の姿に戻ってしまった」[4]

●フィリピン人の“出身地”はマレー世界/7世紀半ばにスリウィジャヤ王国/対岸のベトナムでは1世紀頃から扶南王国

●1990年、ラグナ銅板碑文(Laguna Copper-Plate Inscription:LCI)が出土。碑文の文字はサンスクリット系の「早期カウィ文字」

●1494年のドリデシリャス会議(スペインとポルトガル/地球の東西分割)

●マニラの語源=「マイニラッド(Maynilad)」:海岸に生えるニラッドという幹の滑らかな木に由来/「マイ」は存在を表し、「ニラッドのあるところ」という意味

コメント:スペインが来るまでの歴史がほとんど分からないというのに心底驚いた。 

 

2)333年のスペイン支配

●1521年のマゼランのセブ島到着

●エンコミエンダ制:フィリピン占領に功績のあったスペイン人に一定区域内の原住民の管理を任せ、貢税の徴収とキリスト教の布教を担当させる
●フィリピン経済を破壊したガレオン貿易
●カトリック宣教とモロ戦争
●1585年から全民族の抵抗運動が本格化
●中国系メスティーソの勃興と抵抗:生糸市場の支配(ホセ・リサールも)

コメント:スペインが笑えるほど無能で有害であるのに驚いた。アホ杉。


3)フィリピン革命

●リサール『ノリ・メ・タンヘレ』
●1892年、ボニファシオを中心とした革命家集団=「カティプナン(人民の子らの最も尊敬すべき至高の協会)」

「革命的であったリサールの論説が、中江兆民の『三酔人経綸問答』ばりに見える・・・リサールは、ときに「豪傑君」であり、「洋学紳士」であったが、肝心なところでは物わかりのよい「南海先生」に後退してしまうのだ。ところが「カティプナン」は、植民地主義者による政治改革に幻想を抱かず、武力蜂起によってそれを達成しようとしていたのである。」[102-103]

●アギナルド ビアクナバト共和国の大統領に就任

 コメント:ホセ・リサールの本を読むこと。 

ノリ・メ・タンヘレ―わが祖国に捧げる (東南アジアブックス―フィリピンの文学 (1))

ノリ・メ・タンヘレ―わが祖国に捧げる (東南アジアブックス―フィリピンの文学 (1))

 
ホセ・リサールと日本 (1961年)

ホセ・リサールと日本 (1961年)

 

 

4)アメリカのフィリピン占領

●セオドア・ローズベルト「中米問題から太平洋問題へ」
●ルディヤード・キプリング『白人の責務--米国とフィリピン諸島』:「アメリカが成熟したかどうかを試すため、白人の責務が与えられる」

"The White Man's Burden": Kipling's Hymn to U.S. Imperialism

●「友愛的同化(benevolent assimilation)」の虚実
●フィリピン第1共和制・大統領アギナルド
●アーサー・マッカーサーとダグラス・マッカーサー/アーサー(父)=最後の軍政長/ダグラス(息子)=少尉でフィリピン任官~在比米軍司令官

●ケソン・米自治領大統領

 コメント:マッカーサー父子の存在の大きさ。

 

5)日本軍のフィリピン占領とエリートの対日協力

●ラウレル大統領
●ベニグノ・アキノ・シニア:反米的愛国者として対日協力
●東京での大東亜会議:ラウレル

「歓迎会場に入った時、私の両眼からは涙があふれ出た。そして私は勇気づけられ、鼓舞され、自らに言った。十億のアジア人、十億の大東亜諸国民、どうして彼らが、しかもその大部分が英米に支配されてきたのか」[196]

●フィリピンは英米への「宣戦布告」を拒否し続ける

 コメント:面従腹背で民族の独立を如何に守るかという闘い、実に面白い。『勇午』を思い出すなど。 

勇午 フィリピンODA編(1)

勇午 フィリピンODA編(1)

 

 

6)1946年、第3共和政(アメリカから独立)

●キリノ大統領
●マグサイサイ大統領
●天才記者ニノイ・アキノの登場
●マルコス大統領

「マルコスは抜群の頭脳の持ち主だった。フィリピン大学時代のマルコスは、法学部切っての秀才とうたわれ、「ナンバー・ワン」と呼ばれていた。マルコスは、・・・司法試験で、史上最高の平均点92.35点をあげていた。またマルコスは特異な記憶力の持ち主で、フィリピン憲法を最初からでも最後からでも自由に暗誦できたと言われている。誰もマルコスのすることに口を出せなかった理由がこれだ。」[251]

●「フィリピン社会は、1%以下の買弁・地主層、1%の中間的ブルジョワ層、8%の都市プチブル層、15%の工業労働者、75%の農業労働者から成り立っている。人口のわずか2%の上層階級が、フィリピンを支配してきたため想像を超えた富の偏りが生じた」[262]

●ニノイ・アキノ暗殺

●コラソン・アキノの大統領就任

コメント:マルコス興味深い。イメルダも。


第1共和制(アギナルド)
自治領政府=アメリカ支配(ケソン、オスメニャ、ロハス)
第2共和制=日本支配(ラウレル)
第3共和制(ロハス、キリノ、マグサイサイ、ガルシア、マカパガル、マルコス、コラソン・アキノ、ラモス、エストラダ、アロヨ、ベニグノ・アキノ3世)

 

参考:山田美妙『あぎなるど』

 

あぎなるど―フィリッピン独立戦話 (中公文庫)

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比律賓独立戦話 あぎなるど〈前編〉 (リプリント日本近代文学)

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