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サブカル天皇・後白河帝とスナック本

 大河ドラマ『平清盛』は、とても面白かったので、毎週、放送される回の該当箇所を『保元物語・平治物語』とか『平家物語』、あるいは頼山陽『日本外史』などで予復習していたものだが、それも、もはや遠い思い出である。なかでも以下の『日本外史』の論賛部分が非常に的確だと思ったので、メモも兼ねて掲載しておく。

「而して源氏何に資(よ)って以て起らんや。源氏、名は暴乱を治むとなして、その実は王権を攘窃す。源・平の罪、未だ軽重し易からざるなり。且つ夫れ源氏の猜忍なる、骨肉相食む。平氏の闔門(こうもん)死に至るまで、懿心(いしん)を失はざるに孰与(いずれ)ぞや。世に平語を伝へ、琵琶に倚(よ)ってこれを演ず。」

 源氏は家族同士で殺し合いしまくる関東ヤンキーで、平家はHOME MADE家族であると。

 その流れで、松田翔太演じる後白河法皇編『梁塵秘抄』を読もうと思い立ち、光文社古典新訳文庫から出ている川村湊訳を買って読んだのだが、これがキテている。奇書なのである。

梁塵秘抄 (光文社古典新訳文庫)

梁塵秘抄 (光文社古典新訳文庫)

 内容は、全篇を通じて、それぞれの「今様」の歌詞について、冒頭に相当に思い切った《意訳》(多くは現代の歌謡曲の歌詞風である)を置き、その次に《原歌》、そして最後に《解説》という構成を取っている。たとえば、最も有名な「遊びをせんとや生まれん~」については、次のような「異訳」が付されている。

 オトコのオモチャと生まれてきたわ/さわられ/なでられ/抱かれるために/たまにゃ/ひとりで/生きたくもなるが/こみあげる/悲しみ/なんとしょう 

  ・・・唖然であるが、思わず原歌を見直してみるなら、以下の通りである。

 遊びをせんとや生まれけん/戯れせんとや生まれけん/遊ぶ子どもの声きけば/わが身さえこそゆるがるれ

 この項は解説もキテおり、次のようなことが書かれている。

 今様の多くが白拍子や遊女などの芸能民にうたわれたことは確かだが、歌そのものの主人公をそれらの人びとに擬する必要はない。八代亜紀が本当に波止場の女である必要はないのと同じことだ。小林旭が、酒場女として“昔の名前で出てい”たら、気持ちが悪いのと同じだ(?)。

 一読、再び唖然とするのではあるが、今や『あまちゃん』によって朝ドラにまで公然と登場するまでになったスナックの風合いを湛えた本であり、その点、大いに好感を持たざるを得ないのであった。

 それにしても、後白河は、もし今の時代に降臨したなら、YouTube視聴しまくり、ニコ動のうp主にもなり、あげく、2ちゃんに降臨して「俺、天皇だけど、何か質問ある?」とかスレ立てしちゃったりするような人だったのではないかと。名実ともに、サブカル天皇だったわけである。

 本当にどうでもイイことだが、このドラマで最も記憶に残ったのは、成海璃子演じる滋子が後白河院の前で雅楽の演奏に合わせて踊った「変な踊り」である。下の薩摩守(=勇者ヨシヒコのメレブさん)による踊りではない。しかし、忠度と俊成の「歌の別れ」の場面とかはすっ飛ばされていて、その点は残念だった。 

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 話を元に戻すと、私は滋子の「変な踊り」が余りに気に入ったので、自宅で家族が居ない時に、ひそかに真似して踊ってみたりしていたのだが、結局それが何なのかは、いくら調べてもよく分からなかった。舞楽の「胡飲酒(こんじゅ)」であることは確かなのだが、色んな意味で全く違う・・・。たぶん、ラッキー池田かKABAちゃんが創作した踊りだったのだろう。・・・とか記していたら、以下のようなものを発見した。やはり・・・。

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http://file.depth333trench.blog.shinobi.jp/cnonju_taiga.jpg より

 

 『八重の桜』は、最近つらくなって来ている。オダギリジョーよ、お前は今までどこに居たのだ、と。