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児玉聡『マンガで学ぶ生命倫理』/脳神経倫理学

書評

 遅まきながら、児玉聡さんから頂いた『マンガで学ぶ生命倫理』読了。高校生とかが読むのに良い本だと思った。各章末尾に付された「映画・小説から」という小さな欄、学生・生徒向けにはここら辺から話を膨らませると教えやすいかも。小説とか映画とかうまく紹介すると教育的効果は小さくないかと。

 しかし、読みながら思ったのは、「エンハンスメント」の話とか典型的なトピックとして収録されるんだあ、と。私はこの話は以前『創文』2008年1・2月(505号)で脳神経倫理学の特集をしてるのを読んで初めて知ったくらいで。

 脳神経倫理の話は、その後、信原幸弘・原 塑編著『脳神経倫理学の展望』( 勁草書房、2008年)で概要を知って、とても面白い分野だな、と思った。新書で『暴走する脳科学』ってのも読んだな。

脳神経倫理学の展望

脳神経倫理学の展望

 『マンガで学ぶ生命倫理』の話に戻るが、「教師視点」からすると過不足ない情報が含まれており「使いやすい」と思った。特に高校とか教養課程での講義に際してミニマムなプラットフォームにすると良いのではないか、と。あとは教師が色々な情報やエピソードを補えばよいだろう。

 行きつ戻りつするがエンハンスメントの話はホントに面白いと思う。《本当の私》って何なの?という点に関するかなり切実な問題を提起していると思う。

 ビヴァリーヒルズ高校白書でトリ・スペリングが演じてたドナが学習障害(LD)だったのとか思い出した。リタリンとか飲んでたっけかな?そういえば青土社の『現代思想』でも以前、脳神経倫理がらみの特集やってたな。

 入試の現代文とかで、このエンハンスメントがらみの問題文とか出したら、解いてる方も他人事じゃなくて、思わず読み入ってしまうのではないだろうか。っと、今日まさに国公立の前期入試の真っ最中だが。

 参考までに:『エンハンスメント・社会・人間性』 (UTCP Booklet 8) この中の植原亮さんの論文を読むと、概要が簡便に分かる。http://t.co/357ihxUOtO